外壁塗装の色選びのポイント
外壁塗装は洋服やアクセサリーを選ぶように「あなたの好きな色」を選べばよいという風にはいきません。建物は大きく、周りの建物や環境とも影響し合い、また10年近くの間を同じ佇まいで過ごすことになるため、下記の5点を考慮しながら少し慎重に選ぶことをおすすめします。
周囲との調和を考慮した色を選ぶこと
お住まいの市町村によっては、街の景観を損なわないために建物の色を規制する「景観ガイドライン」を定めているところがあり、個人宅・法人の建物を問わず、外壁の色が景観を損なうと判断された場合は変更の対応を求められる場合があるので気をつけましょう。景観ガイドラインの制定状況はお住まいの市町村に確認できます。
家の形(窓・サッシ・玄関などのパーツも含む)と調和する色であること
外壁塗装というと壁面と屋根を中心に考えてしまいがちですが、その他にも「破風板」「軒天」などの付帯部分への塗装にも注意を向ける必要があります。また、建物には窓やサッシ、玄関のドアなど塗装をしない部分もあるので、家の形全体の調和を考えた色選びをします。
塗料に長期間の耐性があること
例えば、白や黒の塗料は完成時の見た目は素晴らしくても汚れが目立ちやすい、青系の塗料は光で色褪せしやすいなど、色によってはデメリットがあって長持ちしない場合があります。そのような色を避けるか、いつもきれいな状態でいるために小まめなメンテナンスを行うなど、塗装のプロと相談するのがおすすめです。
業者にその色の塗料を適切に塗る技術があること
例えば「艶のある塗料」など一部の塗料では、ムラなくきれいに仕上げるために技術力の高い職人の仕事が必要になるものもあります。経験の浅い塗装業者に依頼して失敗するということもあるので、希望の仕上がりに近い施工実績を実際に見せてもらうなどの確認をしてもよいでしょう。
そして何より「住む人が快適に感じる色」を選ぶこと
外壁塗装工事は一度行ったらその後約10年間は同じ状態で過ごすことになります。街との調和や、家全体の調和、長期間の耐久性といったさまざまな要素を考慮したうえで、住む人が快適に思える色を選ぶのが理想です。
見積り時に気を付けるポイント
サンプルを鵜呑みにしてはいけない⁈
見積りの際に塗装業者さんから外壁の色見本やカラーシミュレーションが提供される場合がありますが、これらを鵜呑みにしてしまうと思わぬところでトラブルになる場合もあります。次の点に注意して、気になる部分は塗装業者さんに確認してみる事をおすすめします。
見積り時に気を付ける「色選び」の4つの落とし穴
色は塗ってある「面積」で印象が変わるので、色見本は大きいサイズでもらう
外壁塗装の色を選ぶ際に、1辺数センチほどの小さなカラーサンプルが並んだパンフレットを利用するケースがありますが、色にはまったく同じ色であっても、塗ってある面積が小さいとより濃く見える視覚効果があるので注意します。可能な範囲でA4サイズほどの大きめな面積に塗られた色見本を見せてもらいます。
色は「光源」で印象がかわるので、実際の環境下を意識して選ぶ
室内の蛍光灯下・白熱灯下でサンプルを見るのと、実際に太陽光にさらされた塗装面を見るのとでは印象が大きく変わります。依頼する業者さんによって対応は変わりますが、事前に「ためし塗り」をしてくれたり、中塗りの段階で色を見せてくれる場合もあるようなので可能な範囲でお願いすると良いでしょう。
カラーシミュレーションの画像はあくまでも「参考」程度に見る
3Dグラフィックスや写真の加工で塗装後のイメージを再現してくれる「カラーシミュレーション」のサービスを取り入れている業者さんは数多くありますが、閲覧環境や上記で述べた「色の面積」「光源」の問題から、正確な完成像が提供されるわけではないので、このイメージを鵜呑みにせず、あくまでも参考程度に捉えるのが大切です。
仕上がりイメージがつかみにくい施工は、塗装実績から実物を見せてもらう
例えば、光沢のある仕上がりの塗料は光の影響で印象が変わりやすく、またムラなくきれいな仕上げをするのに高い技術が必要です。塗装業者さんの実績の中から同じような塗料を塗った建物を実際に見せてもらい、完成イメージと技量の参考にすると良いでしょう。
「色選び」を通して、業者さんの人柄を見極めることも
塗料や仕上げの色は小さなサンプルだけで選ぶのが難しく、外壁工事が完成した建物の姿を頭の中でイメージできないという方も多くおられます。
色選びにのみに限りませんが、施主の希望をくみ取って適切な提案をしようと努力してくれる姿は、塗装業者さんの信頼を測るうえで貴重なポイントになります。分からない所は積極的に相談して、業者さんとのコミュニケーションを深めてみましょう。