外壁塗装の耐久年数の考え方と維持費用の抑え方について
「外壁ってどれぐらいの期間放っておいても大丈夫なの?」「修理するとどれぐらい費用がかかるの?」
外壁っていつも目にしている割にはあまり深く考えたりしないですよね?壊れた時や他の人から指摘されて初めて考えることが多いと思います。
今回は、普段あまり気にすることがない、でも工事するには大きなお金がかかる、そんな外壁の耐用年数の考え方と維持費用の抑え方についてご紹介したいと思います。
外壁の耐用年数と耐久年数の違いとは
耐用年数とはどのような年数のことをいうのでしょう?
実は耐用年数とは、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で決められた法定耐用年数のことをいうのです。
あくまでこれは「減価償却の目安となる年数」のことを言います。
よく似た言葉で「耐久年数」というものがあります。
耐久年数とは、「このくらいの年数なら使用するには問題はない」という目安の期間で、それより前に問題が起こることもありますし、過ぎたからといって必ず問題が起こるわけでもありません。
あくまで目安となる期間です。
両者とも似たような意味で使われることがありますが、上記のような違いがあることをまずは覚えておいてください。
耐用年数を決める2つの要素
それでは、外壁の耐用年数とはどのようなことをいうのでしょう。
外壁の耐用年数は内容によって大きく2つに分かれます。
塗料の耐用年数
1つ目が塗料の耐用年数です。
これは、各塗料メーカーが自分たちで作った塗料について、塗装後から何年間耐久性を保っていられるかを示したものです。建物の耐用年数
2つ目が建物の耐用年数です。
建物の耐用年数は国税庁が発表している建物の寿命のことを言います。
「塗料」と「外壁材」、この2つが外壁塗装の耐用年数に大きく関わってきます。
それでは、詳しくご紹介していきましょう。
塗料の耐用年数
各塗料メーカーで出している塗料の耐用年数についてご紹介します。
各塗料メーカーの塗料ごとにご紹介したいのですが、あまりにもたくさんの塗料が出ているため、ここではメーカーの塗料ごとではなく塗料の種類ごとに耐用年数の違いをご紹介します。
また、外壁の維持費用を抑える方法やおすすめの塗料についてもご紹介します。
塗料の種類によって耐用年数は変わる
まず知っていただきたいことは、どこのメーカーで出している商品も塗料自体の種類は一緒なので、種類ごとに耐用年数を把握できていれば心配することはないということです。
ただし、あくまでも耐用年数は目安であることに注意してください。
耐用年数は、イメージとしては自動車のカタログに書いてある燃費と似ているかもしれません。
自動車のカタログに、「リッター〇km」と書いてあっても実際にはそこまで良くなかったという経験を誰しもしたことがあると思います。それと似たようなものだと思ってください。
塗料の種類 | 耐用年数 | シェア |
---|---|---|
アクリル系塗料 | 5〜6年 |
|
ウレタン系塗料 | 7〜10年 |
|
シリコン系塗料 | 8〜15年 |
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ラジカル系塗料 | 8〜15年 |
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フッ素系塗料 | 15〜20年 |
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光触媒塗料 | 10〜15年 |
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ピュアアクリル塗料 | 12〜15年 |
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遮熱系塗料 | 15〜20年 |
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現在はシリコン系塗料が主流で耐用年数は10年くらいです。アクリル系塗料は滅多に使われなくなりました。
また、表中の耐用年数は新築時を想定したものです。
外壁の維持費用を抑えるための方法とは
外壁の塗装費用を考えるのであれば、単純に1回の工事に必要な費用で考えれば良いのですが、家の場合は何十年と長く住むことになりますから、1回あたりの塗装費用ではなく住んでいる間の塗装の維持費用を考えることが重要になります。
つまり、長い期間での総額で考える必要があるということです。
そのためには塗り替えの周期を長くすることがポイントになります。
例えば耐用年数が10年の塗料を使用すれば、40年間で4回の塗り替えが必要ですし、耐用年数が15年の塗料を使用すれば、40年間で3回の塗り替えで済みます。
このように、耐用年数の違いによって塗り替えの回数が変わるため、外壁の維持費用を少なく抑えることができるわけです。
つまり、「どの塗料を使うのか」ということが重要なポイントになります。
おすすめの塗料は?
外壁の維持費用を抑えるためには、耐用年数が長くて安い塗料を使うことになります。
そこでおすすめなのは、シリコン系とラジカル系の塗料です。
この2つの塗料であれば耐用年数も長く安いので、性能・費用の両面から見ても満足のいくものになります。
建物の耐用年数
外壁の耐用年数を考える場合には、塗料を選ぶことが大切であることはすでにご紹介しました。
外壁の維持費用を考えるにあたって大事なことは、塗装サイクルをどう組み立てるかです。
ここでは、外壁の耐用年数に関係する2つ目の要素である「建物の耐用年数」についてご紹介していきます。
建物によって耐用年数は決められている
国税庁から建物の耐用年数が発表されていますのでそれを参考にします。
国税庁が発表している耐用年数は、減価償却資産の耐用年数ですので、耐用年数が過ぎたからといって、もう住めないというわけではありませんので安心してください。
それでは、具体的に見てみましょう。
建物名 | 建物の耐用年数 |
---|---|
木骨モルタル造 | 20年 |
木造・合成樹脂造 | 22年 |
金属造 | 34年 |
れんが造・石造・ブロック造 | 38年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 | 47年 |
木造が短く、鉄筋や鉄骨、レンガなど石造で建てられた建物が長いことがわかります。
例えば、耐用年数が20年の木造モルタル造の建物は、何もしなくても20年間大丈夫というわけではありません。
経年劣化はもちろん考慮に入れますが、きちんと外壁塗料の耐用年数を含めて良い状態に保っていることが前提での20年です。
この良い状態を保つようにメンテナンスしていかなければ、国税庁が発表している耐用年数にはなりません。
建物に関しては、建ててからの年数が経過するほど修繕費用が大きくなっていきます。
外壁塗装が1回目と2回目では建物の痛み具合が違うので塗装費用も当然に変わってきます。
では、どのように塗料の耐用年数と建物の耐用年数が関わってくるのでしょうか。
外壁材の種類によって耐用年数は変わる
建物の耐用年数についてはご紹介しましたが、外壁塗料を塗るのは外壁材です。
では次に、外壁材の耐用年数とメンテナンス周期を見てみます。
外壁材 | 耐用年数目安 | メンテナンス周期 |
---|---|---|
タイル | 40年 | メンテナンス不要 |
窯業系サイディングボード | 40年 | 7〜8年 |
金属系サイディングボード | 40年 | 10〜15年 |
木質系サイディングボード | 40年 | 8〜12年 |
樹脂系サイディングボード | 40年 | 10〜20年 |
モルタル壁 | 30年 | 8〜10年 |
ALCボード | 60年 | 10〜15年 |
コンクリート壁 | 60〜100年 | 15〜20年 |
これまでもご紹介していますが、必ず経年劣化というものがあります。年々劣化が進みますので、定期的・周期的にメンテナンスをすることではじめて本来外壁材が持っている耐用年数を保つことができるということを忘れないでください。
その他関係するものの耐用年数
塗料・建物・外壁材についてそれぞれの耐用年数をご紹介してきましたが、その他に耐用年数に関係するものとしては、コーキング(シーリング)や防水工事などがあります。
これらも耐用年数に大きく関係しますので気をつけるポイントになります。
耐用年数が過ぎているかどうかの判断
これまで、外壁に関係するものの耐用年数についてご紹介してきましたが、それでは、実際に耐用年数が過ぎているのかどうかを判断する方法(確認ポイント)についてご紹介していきましょう。
- 確認するポイントは、
- 外壁にチョーキング現象が見られる
- 外壁にカビやコケが生えてくる
- 塗装(塗膜)にひび割れが起きている
- 塗装が剥がれてきている
- 外壁が汚れてきている
- 金属部のサビが目立ってきた
「えっ、こんなこと?」と思うかもしれませんが、実はこれがわかりやすい確認ポイントなんです。
このような症状がみられる場合は、「そろそろ外壁工事が必要かな?」というサインだと思ってください。
最後に
外壁塗装の耐用年数は「塗料」と「建物」という2つの大事な耐用年数によって構成されていることをご紹介しました。
まとめると、耐用年数は、塗料の耐久度、建物の耐久度、塗料の特徴、建物の環境、それと塗装業者の技術レベルが大切になります。
特に、塗装業者の技術レベル次第で耐用年数に大きな違いが出てきますので、優良な外壁塗装業者探しが重要なポイントとなることは間違いありません。
以上、外壁塗装の耐久年数についてご紹介してきました。参考にしてください。