外壁塗装で保険を活用することは可能か?
一般的に、外壁工事や外壁塗装の費用は数十万円から数百万円かかります。一般の家庭にとっては大きな負担ですよね。
そこで、なんとかその負担を軽減することはできないものでしょうか。
負担を軽減できる可能性として、「保険を利用する」ということが考えられます。
それでは、外壁塗装に保険を利用できるのか?その点についてご紹介していきましょう。
利用できる可能性があるのは火災保険
保険にはいろいろなものがありますが、その中で外壁の補修に関係するものは火災保険になります。
それでは、火災保険とはどういったものなのでしょうか。
火災保険とは、一戸建て・マンション・ビルなどの建物に加え、建物の中にある家具や什器などの動産も補償する保険です。
火災保険という言葉から、火災だけが保険の対象となるような気がしますが、実は火災以外でも保険の対象になるのです。
例えば、「落雷」によって電化製品が壊れた場合、台風などの強風で瓦や外壁が壊れた場合、洪水によって床上浸水した場合など自然災害による損害や、排水管の詰まりによる「水濡れ」や「盗難」などの日常生活における事故も補償の対象になります。
外壁塗装の場合は風災に該当するかどうかがポイント
それでは、外壁塗装も火災保険の補償対象になるのでしょうか。
外壁塗装が補償の対象になるには、「風災」という条項に当てはまることが必要になります。
風災とは、先ほどご紹介した「台風などの強風で瓦や外壁が壊れた場合」のことを言います。
風災条項の内容
それでは、具体的に風災の条項がどのようなものなのか見てみましょう。
- 強風での屋根の破損
- 竜巻による屋根の破損
- 台風、暴風雨による屋根の破損
- 突風、疾風による屋根の破損
が風災として認められることになります。
また、強風で物が飛ばされて屋根にあたり、そのために屋根や防水シートが破れて雨漏りになった場合なども補償の対象になります。
なお、強風の目安となる瞬間最大風速は20(m/s)以上になります。
過去の気象データは気象庁のサイトで調べることができますので活用してみてください。
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
火災保険が適用は損害鑑定人が判断
火災保険が適用されるかどうかは損害鑑定人が判断します。
損害保険登録鑑定人とは、建物や動産の保険価額を算出したり、損害額の鑑定や事故の原因・状況調査などを行う専門家です。
日本損害保険協会が実施する認定試験に合格し、登録されている人が損害保険登録鑑定人です。
経年変化は補償の対象外
これまでご紹介してきたように、風災と認められれば外壁塗装は補償の対象になりますが、経年変化については残念ながら補償の対象外となってしまいます。
経年変化以外でも、人が手を加えた後の損害も補償の対象外になってしまうので気をつけてください。
補償された場合でも全額補償にはならない
補償額を決める場合、保険会社では免責という考え方があります。
免責とは、火災保険会社が保険金の支払いを免除される金額のことを言います。
このため、外壁塗装の全額が補償されるわけではないので注意しておきましょう。
また、免責額がどの程度になるのかは、保険会社や契約内容によって異なりますので保険会社に確認することが必要です。
さらに、契約の内容によっては工事額が20万円以下の場合は保険金が支払われないこともありますので合わせて確認しましょう。
3年前までの損害は保険申請できる
火災保険は、保険法で「保険請求は約3年で時効とする」と定められていますので、過去3年以内の損害までさかのぼって保険申請することができます。
しかし、保険法とは別に保険会社側で保険の申請期限を定めている場合もありますので、念のため事前に約款等で申請期限を確認するか保険会社に問い合わせておきましょう。
火災保険を利用した場合の補修の流れ
火災保険を利用した場合の全体的な流れをご紹介します。
- まずは、あなたが塗装業者などに工事の見積もり依頼の連絡をします
- 依頼を受けた業者は現地調査をします
- 業者は、調査報告書や見積書を作成しあなたに提示します
- あなたは、保険会社へ保険適用の電話連絡をします
- あなたは、保険会社の指示に従い保険請求書類を保険会社に提出します
- 書類を受け取った保険会社は損害鑑定人による現地調査をします
- 保険会社は、現地調査に基づき被災額を確定し保険金額を決定します
- あなたに保険会社から保険金が支払われます
- あなたは、業者に依頼し被災箇所の補修を行います
- あなたが、業者に補修代金を支払います
外壁塗装だけで保険金を利用するのは難しい
これまで、外壁塗装に火災保険を利用することについてご紹介してきました。
しかし、外壁塗装だけをお考えであれば注意する必要があります。
台風や強風、大雨による住宅の被害を考えればわかると思いますが、風災によって建物などが被害を受けた場合は、屋根の葺き替えや板金工事、外壁そのものの工事など、損害箇所を火災保険を利用して補修することになります。
もし、損害箇所の補修ではなく外壁塗装だけで火災保険を利用することをお考えであれば、それは火災保険の契約内容上難しいと言えます。
業者を選ぶポイント
外壁工事や外壁塗装では、すでにご紹介したように大きな費用がかかります。
そのため、保険金を餌に忍び寄ってくる悪い業者もいます。
例えば、
- 工事を先に進めてしまう
- 100%保険金がおりると言って足場をかけてしまう
- 保険金請求の代行を提案してくる
- サービスの契約書を交付しない
実際にこのような相談が国民生活センターに寄せられています。
そこで、悪い業者に騙されないよう、良い業者を選ぶポイントをご紹介します。
評判の良い業者
まずは、評判が良い業者を選びましょう。
悪い噂がある場合はまず疑ってみることが大切です。
また、長い間地元で仕事をしている業者は顧客との信頼関係を大切にしています。
このような業者は営業スタッフの評判も良いことが多いです。
火災保険を利用したことがある業者
次に、火災保険を利用した塗装工事の実績がある業者を選びましょう。
見積額の積算時や見積書の作成時に有益なアドバイスをもらえることが期待できます。
それに、保険会社との連携もスムーズに進みます。
請負業者賠償責任保険に加入している業者
請負業者賠償責任保険とは、塗装工事中の事故によって通行人にケガをさせてしまったり、隣の家の物を壊したりしてしまって業者が賠償責任を負担した場合の損害をカバーする保険です。
つまり、業者が加入する保険です。
具体的には、
- 業者が足場からモノを落させてしまい通行人に怪我をさせてしまった
- 塗装工事中に隣近所の家にも塗料をつけてしまった
- 塗装工事中に建物の窓・雨戸・フェンスなどを破壊してしまった
といったことなどが保険の対象になります。
実は、この請負業者賠償責任保険は加入している業者と加入していない業者があるのです。
万一のトラブルを考えるのであれば、業者がこの請負業者賠償責任保険に加入しているかどうかも業者選定のポイントにしてください。
契約している火災保険を確認しましょう
外壁塗装で火災保険が活用できるかどうかについてご紹介してきました。
火災保険が、火災による損害だけではなく様々な自然災害などにも適用されるという事に驚いた方もいらっしゃるかもしれません。
大切なことは、ご自身が契約している火災保険の内容を見直しよく理解することです。
この記事を参考にして、現在契約している火災保険について内容を改めて確認してみましょう。