外壁塗装会社の価格比較の方法
外壁塗装を依頼する際に注意しなくてはいけない点が価格の比較です。
塗装業者には悪質業者も存在するため何の知識も持たずに依頼をしていては数十万円の損失をこうむることでしょう。
事前に価格に対する知識を備えることで騙されることなく塗装業者に依頼することができます。
この記事では、塗装業者に依頼するときにどのように価格を比較すれば良いのかについて紹介いたします。
外壁塗装の価格についてまったく知識がなかったとしても以下の内容を覚えておけば悪質業者を見抜くことが可能となるでしょう。
外壁塗装会社に騙されないための価格比較のポイント
外壁塗装にかかる費用の総額は30坪程度の住宅であれば60万円〜120万円が多いです。
しかし価格には非常に広い幅があるため一概にいくらだとは言い切れません。
あなたの家の適正価格を知るためには以下の項目を守ることが重要です。
3社以上から見積もりを取得する
見積もりの取得は必ず3社以上から行いましょう。
1社から見積もりを取っただけでは適正価格かどうかは判断できません。
しかし2社でも判断が難しいことはあまり知られていません。
もし2社から見積もりを取得して30万円以上も差があった場合にあなたはどうやって適正価格を判断するのでしょうか。
3社であれば最低でも2社は価格が近くなるため価格が判断しやすくなるでしょう。
3社以上から見積もりを取得する時には必ず同じ条件で現地調査をしてもらってください。
異なる条件で見積もりを取っても比較にはなりません。
業者に大して「相見積もりをしています」と明確にすることで競合他社を意識して安くしてくれることもあります。見積もりを依頼する業者には相見積もりであること伝えておくと良いでしょう。
塗料の種類を揃えることも忘れないで下さい。
どの塗料が適しているかがわからないのであれば「シリコン系塗料でお願いします」と伝えれば確実です。
シリコン系塗料は現在最も使われている種類で、信頼性が高い塗料です。
性能が高い塗料を使用したいのであれば耐用年数が長い「フッ素系塗料でお願いします」と伝えても良いでしょう。
価格の根拠を尋ねる
見積もりの際には塗料の費用について価格の根拠を尋ねてみてください。
可能であれば塗料以外の代金も確認してみたほうが良いでしょう。
優良な塗装業者であれば自社で明確に価格の根拠を決めています。
そのため根拠を尋ねられたとしても具体的に答えることが可能です。
曖昧な表現であったり根拠が疑わしい業者がいたら避けた方が良いかもしれません。
見積書の細かさを見る
見積書がどれほど細かく書かれているかも重要です。
例えば足場の面積が「1式」と書かれている場合は要注意です。
「1式」という表現はゴミの処理費用などに使われることはありますが塗装面積や足場面積の数量として使うには適していません。
不十分な現地調査をしているためにいい加減な見積もりを出している可能性があります。
他の業者に比べて見積書の項目が「1式」ばかりだった場合には依頼するのを避けた方が良いでしょう。
逆に、他の業者が「1式」にしているような項目でも細かく書いてくれている業者があれば信用できる会社だと考えられます。
塗装面積を見る
同じ条件で計測をしたのに塗装する面積に2割以上の差がある業者はいい加減な調査をしている可能性があります。
例えば2社が塗装面積120㎡で見積もりを出しているのに150㎡以上で計算している業者があったら要注意です。
ただし、雨戸などの付帯部分をまとめて計算する業者もいますので、鉄部や付帯部分などの塗装面積が含まれているかどうかは見積書の他の項目を見て確認しておいてください。
見積書で見かけやすい項目と費用の内訳
外壁塗装でかかる工事の費用は「塗料代+工事費+人件費」です。
塗料代 | 工事費 | 人件費 |
---|---|---|
30% | 35% | 35% |
割合としては上記のようになりますが、業者によって大きく異なります。
しかし見積書では人件費は記載されません。
これは塗料代や工事費などに含まれているからで明確に人件費がいくらになるということは業者側も説明しにくいでしょう。
塗装会社に依頼する見積書で出てきやすい項目は以下があります。
- 足場
- 洗浄、養生、飛散防止シート
- 下地補修
- 外壁塗装
- 屋根塗装
- 鉄部、付帯部塗装(破風、軒天、雨戸など)
- 防水処理
- 諸経費、ゴミ処理など
業者によって名称が異なることや、さらに細かい項目に分けていることもあります。
これらの項目が細かく書いてあるほど優良業者の可能性が高まるでしょう。
30坪の住宅の見積もり費用をざっくりと紹介
30坪程度の住宅であれば外壁は120㎡程度の面積になります。
ざっくりとした目安を下記に作成しました。
もちろん、構造や業者によって大きく価格は異なってきます。
工事内容 | 30坪(120㎡)の目安額 |
---|---|
足場 | 12万円 |
洗浄 | 4万円 |
養生 | 4万円 |
飛散防止シート | 2万円 |
下地補修 | 10〜30万円 |
外壁塗装 | 20〜60万円 |
屋根塗装 | 10〜40万円 |
諸経費 | 3万円 |
30坪程度の住宅なら総額では60万円〜120万円程度に収まることが多いです。
「ビケ足場」と呼ばれる安全性が高い足場の価格で計算しています。
「単管足場」という危険性が高い足場だと、価格は安くなりますが作業がしにくい上に職人が怪我をするリスクがあります。まっとうな業者であれば外壁全体を単管足場をメインとすることはありませんので見積書に単管足場と書いてあったら注意しましょう。
下地補修や養生、飛散防止シートについては他の項目に省略する業者もあります。
下地補修や塗装の価格に幅がある理由としては、壁の劣化具合、塗料の種類によって大きく価格が変わるからです。
ほとんど補修がなければ安く済みますが、亀裂や外壁の崩れなどがあればかなりの費用がかかるでしょう。
多くの業者では見積書の最後に「値引」あるいは「調整額」といった項目が出てきます。
これは、税込金額のキリが良くなるように調整しているだけですので基本的には気にする必要がありません。
ただし10万円以上の値引きをする例はほとんどありませんのでそのような場合は業者に理由を尋ねてみたほうが良いでしょう。
外壁塗装の見積額というのは細かい上に統一された規格がありません。
このため業者によって差が大きいため上記の例も参考程度にとどめておいて下さい。
ただ、特別な事情がないにもかかわらず30坪の住宅で200万円以上の見積書を出されたのなら理由を尋ねておいたほうが良いでしょう。
30坪の住宅であれば外壁と屋根を高品質な塗料で塗装したとしても200万円を超えることはほとんどありません。
価格を比較する時に失敗しやすいポイント
塗装業者に見積もりを依頼して価格を比較するときに失敗しやすいポイントをまとめました。
事前に知っておくことで見積もりの比較の際に優良業者を選びやすくなるでしょう。
価格が安いから良いというわけではない
価格が安い業者が優良業者というわけではありません。
なぜなら価格を安くするために手抜き工事をする悪質業者がいるからです。
ですので見積もりを3社から取った時に一番安い業者をすぐに選ぶというのはやめましょう。
他のポイントをチェックしながら概ね信用できる業者が2社以上あるという段階になったら価格で選んで下さい。
親切だから信用できるというわけではない
現地調査や見積もり提出の際に親切にしてくれるから良い業者というわけではありません。
もちろん対応は親切な方が優良業者の可能性はありますが、あくまで最初は見積書の内容で比較するようにしましょう。
信用できる業者が2社以上あるという場合になったら親切かどうかというのを基準に入れても良いと思います。
現地調査にかける時間が極端に短い業者を選んでしまう
塗装業者が見積書を提出する際に必ず行うのが現地調査です。
企業としての利益を損なわない範囲で依頼者側に最大の貢献をするために正確な数値を測る必要があるため、特に重要な作業となります。
この現地調査を家の周りを少し回った程度で完了させるような業者は危険です。
いい加減な面積を出して大体の目算でやっていると実際の面積と大きく差があったときに問題が起こります。
実際の面積よりも少ない数値で見積書を出してしまうと材料費などが会社の利益を圧迫するため手抜き工事に繋がりかねません。
逆に面積よりも少し水増しして見積書の価格を決定する業者もいるでしょう。
この場合にはあなたは無駄な費用を支払うこととなります。
塗装業者と依頼者の双方の利益を最大化するために現地調査は非常に重要な作業なのです。
インターネットの情報を過信しない
近年の塗装業者に依頼する人がおかしがちな間違いとしてインターネットの情報を過信しすぎることです。
インターネットの情報がすべて間違いというわけではありません。
しかし塗装に関する知識が一切無い素人が書いた記事もインターネットには数多くあります。
また、信用できるサイトが相場を書いていたとしても実際にあなたの家を施工する際には価格が変わる可能性があります。
これは建物の構造や状況などによって費用は大きく変わるためで、インターネットに公開されている塗料の相場が絶対だと思い込んで「この業者はネットの相場よりも高い価格を出してきたから悪質業者だ!」と決めつけてしまうのはやめましょう。
相場はあくまで参考にしかなりません。
あなたの家の外壁塗装にかかる費用は相見積もりをすることでしか出せないのです。
悪質業者が行いがちな手口に注意
悪質業者が騙す行為というのは数多くありますが有名なものを以下にまとめました。
知識として知っておくだけでありがちな悪質業者を防ぐことができますので依頼先を決める前に確認しておきましょう。
3回塗りの塗料を2回塗りにしている
外壁塗装の塗料は基本的に3回塗りを前提としていますが悪質業者の場合は費用を抑えるために2回塗りにしていることがあります。
3回塗りの作業工程は下塗り、中塗り、上塗りがあります。
下塗り以外は同じ塗料を使うこともあるため2回だったのか3回なのかというのは仕上がってしまうと基本的にわかりません。
これを利用して下塗りと上塗りの2回で終わらせるというのが悪質業者の手法です。
見積書が税抜き表記
基本的に見積書は税抜きと税込みの両方で表記する業者が多いのですが、悪質業者の場合は税抜き表記だけを書いてくることがあります。
今は消費税が頻繁に変わる時期のため、2021年の3月31日までは税込み表記しなくても良いことになっています。
これを利用して悪質業者は税込表記と見せかけて税抜き表記で見積書を作ります。
100万円の見積書だった場合、8%の消費税だけで8万円がかかりますので見過ごせる金額ではありません。
もし見積書に税抜や税込という表記がなかった場合には業者に必ず確認してください。
訪問営業をしている
悪質業者の場合は訪問営業をしていることがあります。
突然「お宅の外壁が寿命を迎えています。このまま放置すると建て替えの危険性があります」などと恐怖心を煽ってくるようなセールスマンが来たら要注意です。
優良な塗装業者の場合は訪問営業をしていません。
なぜなら訪問営業する必要がないほど顧客からの依頼が舞い込んでくるからです。
訪問営業しているということはあなたが支払う工事費にセールスマンの人件費が含まれています。
そもそも技術などに問題があるから顧客が足りていないのですから、優良業者とは言えないでしょう。
こういった業者に依頼するとあなたは無駄な費用をかけることになりますので訪問営業してくるような会社は信用しないほうが良いでしょう。
大手メーカーより優れた自社オリジナル塗料を主張
大手メーカーの塗料よりも耐久性が高く価格は大差ないという自社オリジナル塗料を出してくるなら悪質業者の可能性が高いです。
そういった業者の言い分としては「大手メーカーは利益を損ねないようにわざと耐久性が低い塗料を販売している」などがあります。
しかし、そんなことはありません。
大手メーカーが開発の手を抜いてしまうと競合他社が簡単に追い抜いてしまいます。
そのため各社は切磋琢磨をして常により良い塗料を作り続けています。
そんな大手メーカーを出し抜いて小さな塗装業者が大手を超える性能のオリジナル塗料を作るというのはほぼ不可能です。
こういった場合、大手メーカーの塗料を混ぜ合わせただけということもありえます。
大手よりも優れた自社オリジナル塗料をすすめてくる業者には注意してください。
創業年数以上の自社保証
少し考えればわかることではありますが会社の創業年数以上の自社保証をつけている業者は危険です。
例えば創業10年未満の会社なのに自社保証を10年つけているといった見積書を提出してくるなら警戒した方が良いでしょう。
会社が存続しているかもわからないのに自社保証をつけているのですから責任をとるつもりがないとしか考えられません。
ただし組合などによる保証だった場合は業者が倒産したとしても受け取ることができますのでまったく別の内容だと考えてください。
まとめ
基本的に以下の項目を守っていれば悪質業者に簡単に騙されるということはないでしょう。
- 3社以上から相見積もりを取る
- 面積や数量を「1式」でまとめすぎている見積書の業者は避ける
- 現地調査があまりにも短い場合は避ける
- 見積書の内容が細かい業者を選ぶ
これで絶対に悪質業者を防げるというわけではありませんが、大きな失敗をする可能性は下げることができるでしょう。
上記を守った上で30坪程度の住宅なら見積額が60万円〜120万円以内に収まれば大きな問題はありません。
この範囲を超える場合には特別な事情があるか悪質業者の可能性があります。
最後に覚えておいてもらいたいこととして、最初から業者は悪質だと考えるのはやめましょう。
塗装業者のほとんどは問題のない優良な業者です。
しかし一部の悪質業者が存在するため業界全体のイメージを損ねています。
業者側としても最初から疑われていては良い気分ではないでしょう。
互いに気持ちよく契約ができるように意識してみると塗装工事はうまくいきやすいでしょう。