塗装工事中に隣の家に塗料がかかってしまったなどの場合の対処方法
塗装工事をしていると避けられないものの1つに「塗料の飛散」があります。
風が強かったり対策が不十分であったら隣の家や車に塗料が付着してトラブルになることがあるでしょう。
事前の対策は必要ですが万が一、隣の家の壁や車に塗料が付着してしまったらどうしたらいいのでしょうか。
この記事ではそんな悩みにお答えしました。
まずは状況確認
最初に必要なのは状況の確認です。
隣の家の住人が「壁や車に塗料が飛んでいる」と言ってきたとしても慌てずに状況を確認することが必要です。
もしかするとあなたが依頼した業者がつけたものではないかもしれませんので以下のことに気をつけましょう。
見つけた時期はいつか?
塗料が付着しているのはいつ見つけたかというのも重要です。
一番多いのは工事が終わった直後や工事中でしょう。
しかし工事が終わってから1年後といった場合には誰がつけたものかは分からなくなるでしょう。
もしかすると塗装工事をしている前に塗料がついたとクレームが来ることもあるかもしれません。
そういった場合はあなたに責任がないのは明確でしょう。
塗料の色は本当に今回の工事と同じものか?
付着したという塗料の色を確認して今回の工事に使用したものかどうかをチェックしましょう。
外壁を白で塗ったのに青色の塗料が付着しているなどという場合には今回の工事が原因である可能性が低そうですよね。
ただし白色の塗料が付着していた場合は外壁の色と違ったとしても今回の工事でついた可能性があります。
なぜなら下塗りに使う塗料が白であることが多いからです。
また外壁の一部だけ違う色を塗ったなどの場合にはその塗料が飛んだ可能性も否定はできません。
付着した場所は塗料が飛散する可能性はあるのか?
塗料が付着したという住宅の壁があなたの家と反対方向にあるのなら今回の工事で付着した可能性は低いと考えられます。
よほど強い風やおかしな風向きだった場合は絶対とは言えませんが、あなたの家と反対方向の壁に塗料が付着するのなら他の部位にも飛んでいる可能性が高いはずです。
にもかかわらずその一箇所だけしか付着していないのであれば別の工事が原因だった可能性があります。
飛散防止処理は十分だったか?
工事中に塗料の飛散防止対策は十分だったかどうかも考えてみましょう。
足場の周りに飛散防止シートを張っていたとしても隙間があれば塗料が飛んでいく可能性はあります。
ましてや飛散防止シートを十分に張っていなかったのであれば隣の家に塗料が付着している可能性は否定できないでしょう。
塗装した日の風の強さはどうだったのか?
塗装した日の風の強さも考慮した方が良いでしょう。
強い風が吹いている中で塗装したのであれば確かに飛散している可能性はあります。
しかし無風に近い状態で塗装したのなら飛散する可能性は低いと言わざるを得ません。
賠償請求されている金額
塗料が壁や車に付着したのであれば賠償金を請求されることでしょう。
もしその金額を提示されているのであれば妥当な金額かどうかも検討してください。
壁の一部だけに塗料が付着しているのに100万円以上を請求されたり、衣類に塗料が飛んだだけで10万円以上を請求されるというのは普通ならありえないでしょう。
保険に加入しているかどうか
基本的に塗装業者は「請負業者賠償責任保険」というものに加入しています。
ですので物や車などに塗料が飛散したとしても業者は負担できることが多いです。
あなたが依頼した業者が保険に加入しているかどうかをチェックしましょう。
業者に連絡して原因調査
上記のような項目を調べ終わったら業者に調査してもらいましょう。
わからない項目があるのなら最初から業者に相談してもいいです。
塗装業者はこういった塗料の飛散トラブルというのは必ず経験していますので必要なことや対策などを熟知しています。
あなたが下手に行動するよりも業者に任せたほうがスムーズに事が運ぶことが多いでしょう。
ただし業者の中にはそういったトラブルを嫌がって対応しないことがあります。
その場合には弁護士などの相談も必要ですので検討してみてください。
基本的には悪質業者でもない限り最低限の現場の調査などはしてくれるでしょう。
塗料がかかったと言われたときに絶対にやってはいけないこと
隣人に塗料がかかったと言われたとしても慌ててはいけません。
もしかするとあなたには責任がないかもしれませんし、場合によっては隣人が賠償金目当てでクレームを言ってきている可能性もあります。
もしもクレームを受けたときには慌てて以下のことをやらないように気をつけてください。
付着した塗料を処理してしまう
壁や車に塗料が付着してしまった場合、業者が対応する前に処理をしてはいけません。
見栄えが悪いからといって修理した後に業者に確認してもらった場合、業者は一切の支払いをしませんので賠償金はあなたが負担することになるでしょう。
付着していたという証拠と原因の調査が必要ですので、修理してからでは確認ができません。
これはあなただけではなく被害者となっている隣人にも言えることです。
調査に時間がかかるからといって修理しないよう隣人にも伝えておきましょう。
「業者の調査が必要なので修理してしまうと賠償金は支払えなくなります」と隣人に伝えることが重要です。
すぐにお金を支払ってしまう
塗料が付着したと言われたからといって焦って隣人にお金をすぐに支払うのもやめましょう。
お金を無駄にしてもかまわないと言うのであれば支払っても良いですが、自分の責任かどうかもわからないのに払うのは今後のためにもよくありません。
なぜなら隣人が賠償金目当てだった場合、支払った後にさらに様々な理由をつけて請求してくる可能性があるからです。
そうでなくても隣人は付着した塗料があなたの家の工事によるものだと信じ込んでいます。
実際には別の工事による塗料の付着というケースも多いのですが、色が違うといった証拠を見せつけてもほとんどの人は納得しません。
ですので隣人はあなたが悪いと決めつけています。
自信たっぷりの相手がすごく正しそうに見えるかもしれませんが、事実を調査するまではお金を支払うのはやめましょう。
原則としてあなたが賠償責任を負うことはない
塗装工事において基本的にあなたが賠償責任を負うことはありません。
あなたは塗装業者に依頼をしただけではあり、塗料が飛散したのならそれは塗装業者の責任です。
このため支払いは塗装業者が全てを負うべきことですので原則としてあなたが責任を問われることはありません。
ただし以下のような場合は例外があります。
賠償責任を負う例外
賠償責任を負う例外というのは、工事に関してあなたに過失があった場合です。
塗料が飛散するような無理な状況を強要したり、業者ではなく自分自身が外壁や屋根を塗った場合には責任はあなたにあります。
こういった場合には近くの家の壁や車に塗料が飛散した場合にお金を支払わなくてはいけません。
トラブル防止のために事前の挨拶は必須
塗料の飛散以外でも近隣住民とトラブルになることは多いです。
外壁の塗装工事中は家の前の道路に業者の車が止まっていますので道をふさぎますし、足場の組立てや高圧洗浄で騒音が響きます。
多くの周辺住民はこういったことに対して不満を抱くでしょう。
そんな時にもしあなたが挨拶に行かなかったなら「あの家の住民は非常識だ。文句を言ってやる」と考えます。
塗料が飛散することがなかったとしても家に怒鳴り込んできて何時間も説教してくる人もいますので、近隣住民とのトラブルを防止するために工事前には必ず挨拶に行きましょう。
挨拶をするだけで塗装工事に関するトラブルの半分以上は解決します。
逆に挨拶をしなかった場合は周辺住民の不満がたまっていますので、そんな時に塗料の飛散が見つかったら相手の不満が爆発して問題を解決するまでに数ヶ月かかることもあります。
業者が挨拶に行ったから安心とは思わないでください。
依頼主本人が挨拶に来ないと不満を持つ近隣住民というのは意外と多いものです。
まとめ
もしも塗料の飛散で近隣住民から苦情を受けた時は、状況確認が必要です。
「本当に今回の工事で飛散したものか?」を調べるためにまずは業者に確認してもらいましょう。
場所やタイミング、色や材料などによって判別することが可能ですので業者に任せておけば一安心です。
基本的には塗料が飛散したとしても業者に依頼したあなたには賠償責任がありません。
しかしあなたに過失があった場合には支払いしなくてはいけないこともあります。
塗料が飛散したというトラブルが起きたら、業者が確認して対処するまでは該当箇所の修理をしないでください。
証拠がなくなってしまうと業者は一切の対応をしてくれませんので隣人にも伝えて塗料の除去作業はすぐにはやらないようにしましょう。
外壁塗装工事の前に隣人に挨拶をするかどうかでもクレームが来る激しさが変わりますので、塗料の飛散などにかかわらず工事前には近隣住民への挨拶をした方が良いでしょう。