塗料による人体への害はありますか?
□現在外壁塗装に用いられている塗料については毒性の強い塗料ものは少なくなっています。
外壁塗装に用いられる塗料のほとんどは人体に害があるとされるVOC(揮発性有機化合物)の放散量が少ないものが多く、人や環境に優しいものになっています。
VOC(揮発性有機化合物)はシックハウス症候群や化学物質過敏症との関連も指摘されており、そのため塗料メーカーも有害物質の少ない塗料を開発するようになっています。
現在では塗料は溶剤系より有害物質の少ない水性塗料が主流になっており、昔より格段に安全性が高くなっています。
そのため現在外壁塗装の現場で使用されている塗料は、工事期間中ずっと現場にいても健康への心配はまずないと言えます。
ただし臭いに非常に敏感な方やアレルギー体質の場合は、化学物質を一切含まない塗料を用いるなど外壁塗装を検討する段階で気を配ると良いでしょう。
現在では化学物質を一切含まない塗料や建材を用いてコーディネイトする専門家もいるため、そうした専門家に相談し参考にするのも良いでしょう。
□塗料の成分で人体への害が指摘される物質
塗料の成分は大きく分けると塗膜になる成分、塗膜にならない成分に分けられます。
◆塗膜になる成分
塗膜になる成分には主要素(樹脂)、副要素(添加物)、顔料などがあります。
塗料が乾くと固形化し、塗装の膜を形成します。
◆塗膜にならない成分
塗膜にならない成分はいわゆる溶剤と呼ばれるものです。
溶剤は樹脂を溶かし、塗料を塗りやすくする成分であり、塗装後は揮発・蒸発します。
この溶剤に水を用いたものが水系塗料であり、VOC(揮発性有機化合物)を用いたものが溶剤系塗料になります。
溶剤が水である水系塗料は蒸発する際の汚染は少なくなりますが、溶剤にトルエン、キシレンなどのVOC(揮発性有機化合物)を用いた溶剤系塗料は揮発する際に空気を汚染し、人体に少なからず害を及ぼします。
□VOC(揮発性有機化合物)を避けるには
・VOC(揮発性有機化合物)が少ない水系塗料を用いる
水系塗料は大多数の製品にはVOC(揮発性有機化合物)が添加されており完全に安全とは言えませんが、溶剤系塗料に比べてVOCは格段に少なくなっています。
一般の健康な方であれば、水系塗料であれば人体への害は問題ないレベルと言えます。
しかし化学物質に過敏な方ですと、VOCを全く含まない塗料を用いるなどの配慮が必要な場合もあります。
・VOC(揮発性有機化合物)を全く含まない自然系塗料を用いる
最近では亜麻仁油を用いた自然系塗料も出てきています。
亜麻仁油は塗膜になる成分である樹脂ですが、同時に溶剤としての役割も持っています。
しかし自然系塗料は価格が高く、施工性が悪いなどの欠点もあります。
天然系塗料に関してはVOCは含まないものの、塗料が乾燥するまでの間に少量のホルムアルデヒドを放出します(他の塗料に関してもこれは言えます)。
塗料を塗布してから完全乾燥するまでの問題にはなりますが、化学物質に非常に敏感である場合は使用前に確認されると良いでしょう。
・VOC(揮発性有機化合物)を溶剤としている溶剤系塗料については長期の乾燥期間をおく
一般的に、溶剤系塗料が完全乾燥し、VOC(揮発性有機化合物)の揮発量が大幅に減少するのが塗装の約3週間後と言われています。
約3週間経った後も少量のVOCの揮発は続くことになりますが、健康への害が気になる場合は3週間程度溶剤が揮発するのを待つという方法もあります。
□まとめ
外壁に用いる塗料については内装に用いる塗料よりは危険度は低いと言え、また現在外壁に用いられている塗料はどの種類の塗料も昔より健康に配慮されたものとなっているため、一般の健康な方であれば問題ない場合が多いと言えます。
しかしもともと化学物質に敏感な体質である場合には、塗料の性能だけでなくこうした健康への影響に気を配って塗料を選ぶことも大切です。契約前の見積もりの段階で施工業者に相談すると良いでしょう。
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