下塗り材の種類とシーラーの種類を教えてください
□下塗り材の種類
・シーラーとは下地と塗料を密着させる接着剤のような役割もつ下塗り材の総称です。シーラーは接着プライマーなどと呼ぶこともあります。
・またパテ効果とシーラー効果を合わせ持つフィラーと呼ばれる下塗り材もあります。
□シーラーの種類
・シーラーには大きく分けて水系シーラーと溶剤シーラーがあり、仕上げ塗料の性質に合わせて選択します。
例えば仕上げ塗料が水系塗料の場合は水系シーラー、仕上げ塗料が溶剤塗料である場合は溶剤シーラーなどのように選択します。
下地のシーラーと仕上げ塗料の性質が合っていないと、塗装後に塗膜の剥がれなどの不具合が起きやすくなることもあるため注意が必要です。
・シーラーは、顔料を含むものではシーラーとしての効果は少なくなるため、原則として顔料が入っていないクリアータイプを用います。
・水系シーラーには合成樹脂エマルション型シーラー、溶剤シーラーには熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラーと溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラーがあります。
・合成樹脂エマルション型シーラーはシーラーの中では最も普及しています。
合成樹脂エマルション型シーラーに用いられる樹脂の種類としては、耐アルカリ、耐水性に優れた100%アグリル共重合体、アクリノレースチレン共重合体、ベオパ系樹脂などの樹脂が用いられています。
・合成樹脂エマルション型シーラーは、シーラーに含まれる水分が蒸発する際に樹脂の粒子が融合することで塗膜を形成します。他のシーラーと比較してポーラスな通気性のある塗膜になります。
塗装を行う面の吸収性が強い場合、下地面に急激に水が吸収されるてしまい、シーラーが下地内部に浸透する前に下地表面で粒子が融合して塗膜を作ってしてしまうため、吸収性の強い下地に対しては浸透性が悪く、下地の補強効果も劣ります。
そのため合成樹脂エマルション型シーラーの使用は、塗装する面の吸収性が強すぎない場合に適していると言えます。
・合成樹脂エマルション型シーラーの上塗り材としては、同じ系統の合成樹脂エマルション塗料が主流です。溶剤系塗料を上塗り材に用いる場合には向きません。
・熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラーは、代表的なものに塩化ビニル樹脂系シーラーがあげられる。
樹脂には耐アルカリ性に優れた塩化ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン、塩化ゴム(天然ゴムを塩素化したもの)などを用いています。
・溶剤が揮発する際に通気性の少ない連続性のある塗膜を形成します。
下地への浸透性は合成樹脂エマルション型シーラーよりは高くなっており、ある程度の下地補強効果があります。しかし吸い込みの激しい下地に使用した場合は浸透性がうまく発揮できず下地を補強する効果が弱くなります。
・合成樹脂エマルション型シーラーよりは塗料の密着性を高める効果は高くなっています。
◆溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラー
・溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラーには、2液型のエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などの合成樹脂が用いられています。
・基剤と硬化剤で構成されており、2液の反応硬化型シーラーです。
溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラーは、硬化前は合成樹脂自体も低分子・低粘度であるため、下地内部に浸透しやすく、また硬化する際に高分子化するため下地の補強効果があります(他のシーラーはもともと高分子であるため下地内部への浸透性が劣ります)
また耐水、耐アルカリ性、耐薬品性にも優れています。
・吸い込みの強い下地にも浸透性が発揮でき、下地の補強効果もあります。そのためけい酸カルシウム板など粉化性が強く、吸収性が極度にある下地の塗装には最適なシーラーとされています。
また新しく開発された建材へは溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラーの1種である2液型エボキシ樹脂シーラーが仕様化されることが多くなっています。
・溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラーについては、2液の混合比・混合後の可使時間を守ること、また塗装後の乾燥時間経過後、決められた時間内に上塗りする必要があります(長期間放置すると塗料の密着性が落ちるため)。
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