アクリル酸
□アクリル酸とは
アクリル酸とは最も簡単な不飽和カルボン酸です。
化学式はCH2=CHCOOHであり、IUPAC命名法では2-プロペン酸と表されます。
アクリル酸は特有の刺激臭があり、融点 12℃、沸点141.6 ℃の無色透明の液体です。
水、アルコール、エーテル、クロロホルムと混和する性質があります。
アクリル酸は毒物劇物取締法では劇物に指定されており、消防法では危険物第4第2油類(水溶性液体)に分類されています。
□アクリル酸の合成
アクリル酸の工業的な合成法にはプロピレンを直接酸化する二段階酸化という方法があります。
この方法では、プロピレンを金属触媒のもとで酸素で酸化してアクロレインとし、そこからさらにもう一段階酸化させてアクリル酸を生成します。
アクリル酸は重合開始剤を与えたり、また酸素などの作用で重合しやすく、アクリル酸の重合体であるポリアクリル酸となります。
このアクリル酸の重合体は非常に親水性が高いという特徴があり、さらに網目状にしてポリマーとなると高吸水性ゲルとして優れた性能を示します。
□アクリル酸の用途
アクリル酸はポリマーの原料、アクリル酸エステルの原料、分散剤、凝集剤、増粘剤、粘接着剤等の原料として使用されています。
本物質のポリマーは紙おむつなどに加工される吸水性ポリマー、水中の汚濁物質を水から分離させる高分子凝集剤、洗剤の洗浄力強化剤、複写機のトナーインクなどに使用されています。
またアクリル酸エステルのポリマーは塗料、粘着剤、接着剤などに使用されています。