エアスプレー塗装
□エアスプレー塗装とは
エアスプレー塗装とは、エアスプレーによる吹き付け塗装のことです。
エアスプレー塗装では圧縮空気を利用して塗料を霧状にして吹き付けます。
エアスプレー塗装の仕上がりは、スプレーガンの種類や塗料の種類、塗料の調整、吹き付け圧力、吹き付け距離などで変わってきます。
□エアスプレー塗装が行われている分野
エアスプレー塗装は特に工業塗装分野で多く用いられ、自動化されて使用されています。
一方、外壁塗装の吹き付け塗装ではエアレススプレー塗装が主流となっており、エアスプレー塗装は塗料の飛散の多さ・風の影響の受けやすさからあまり使用されることはありません。
外壁塗装でエアスプレー塗装が行われるのは、高級な仕上がりを求められる部分の吹き付け塗装や、他の塗装方法では塗りにくい形状の場合などに限られるようです。
□塗料の調整
一般的な塗料の多くはエアスプレー塗装が可能です。
エアスプレー塗装では適正なスプレーガンの選定と塗料の調整が大切になります。
塗料の調整としては、よく撹拌してろ過することが必要になります。これを怠るとスプレーガンのノズル詰まりを起こしたり、仕上がりにも影響します。
□吹き付け圧力
エアスプレー塗装の吹き付け圧力については以下の特徴があります。
◆圧力が高い
・空気の量が増えて塗料の粒子が細かくなる。
・圧力が高すぎると塗料の飛散が増え、塗料の付着効率が落ちる。
◆圧力が低い
・空気の量が減り塗料の粒子が荒くなる。
・ピンホールなどの塗膜欠陥が出やすくなる。
□エアスプレーの圧力調整
適正な圧力はスプレーガンによって決まっています。
圧力の調整はスプレーガンとコンプレッサーで行います。
・スプレーガン…引き金を引いて空気のみを噴射し、スプレーガン手元の圧力調整つまみで調整します。
・コンプレッサー…エアホースの圧力降下を考慮して吐出圧を少し高めにしておきます。
塗装中に空気圧力が下がる原因は、スプレーガンの空気使用量に対してコンプレッサーの空気吐出量が不足していることが挙げられるため、コンプレッサーの出力が十分なものを使用すると改善されるようです。
□塗料ノズル口径
塗料ノズルの口径が大きくなるにつれて塗料の吐出量も増えます(塗料の吐出量は塗料の粘度も影響するため注意が必要です)。
下塗りには口径の大きいものを使用し、仕上げには口径の小さいものを使用します。
一般的なスプレーガンでは概ね1~3mm口径が使用されるようです。
□吹き付け距離
吹き付け距離とはスプレーガンの先端から被塗物までの距離を指します。
◆吹き付け距離が近い
・パターン巾が狭くなり、塗膜が厚くなる。
・吹き付け距離が近すぎると塗膜に流れが生じてしまう。
◆吹き付け距離が遠い
・パターン巾が広くなり、塗膜は薄くなる。
・吹き付けの際の塗料の損失が増える。
・吹き付け距離が遠すぎるときれいな塗膜が形成されない。
□スプレーガンの使い方
均一な塗膜を作るためにはスプレーガンを以下のように運びます。
・スプレーガンと被塗物の距離は一定距離を保ち、並行に動かす(円を描かない)。
・スプレーガンは被塗物に対して常に直角を保つ。
またスプレーガンの動かし方によって以下の特徴があります。
・スプレーガンを早く動かせば塗膜は薄くなる。
・スプレーガンを遅く動かせば塗膜は厚くなる(遅すぎると塗料が流れる)。
□スプレーガンの種類
◆塗料の供給方式で分けたスプレーガンの種類
・吸い上げ方式
・重力式
・圧送式
◆塗料と空気の混合方式で分けたスプレーガンの種類
・外部混合式スプレーガン
・内部混合式スプレーガン
また特殊スプレーガンと呼ばれる種類のスプレーガンもあります。