クラック
□クラック(ひび割れ)とは
クラックとは、亀裂、ひび割れのことです。
建物の外壁や内壁、基礎などに発生した亀裂、ひび割れのことを指します。
・構造クラック…構造的に発生したクラック
・ヘアークラック…ひび割れの幅が小さいクラック
基礎表面に出るヘアークラック程度であれば問題ありませんが、構造クラックは重大な問題を引き起こす可能性があります。
□クラックができる建物
外壁にクラックが出来る主な建物としては以下のものがあります。
・木造の建物で、外壁がモルタル製
・コンクリート製の建物
また上記以外の建物でもALC外壁の建物などにはクラックが発生することがありますが、モルタルやコンクリートほど多くはないようです。
□クラックが発生する原因
クラックの発生頻度の高いモルタル、コンクリートですが、これらにクラックが発生する原因は以下になります。
モルタルやコンクリートは乾燥する際に収縮しますが、その乾燥収縮にモルタルやコンクリートが変形して合わせることが間に合わないためにクラックが生じます。
建物の外壁は面積が大きいため、乾燥収縮によるクラックを無くすのはほぼ不可能とも言えます。
クラックは放置しても元に戻るとことはなく、良くて現状維持になります。
またクラックから雨が侵入したり、夏の建物の膨張、冬の建物の収縮、また小規模の地震などの積み重ねでクラックの幅が広くなったり、長くなったりすることは避けられないようです。
またクラックから雨水が侵入するとコンクリート内の鉄筋が錆びて腐食し、建物自体の傷みにも繋がります。
□クラックの例
よく見られるクラックの例としては窓の上下のひび割れになります。
これは外壁の乾燥収縮によるクラックであり、補修すれば問題のないクラックになります。
しかしクラックから雨水が浸入して内部の鉄筋が錆びてしまうと建物の強度が低下することに繋がるため、長期間放置しないことが大切になります。
□有害なクラックの幅
クラックは全てが有害というわけではありません。
下記の基準を下回っており、幅が安定しているようであればひとまず安心と言えるようです。
以下の仕上げで幅0.2mm未満のクラック
・モルタル塗り仕上げ
・弾性吹き付けタイル仕上げ(塗料吹き付け仕上げ)
・タイル張り仕上げ
以下の仕上げで幅0.06mm未満のクラック
・打ち放し仕上げ
・非弾性吹き付けタイル仕上げ(塗料吹き付け仕上げ)
・リシン吹き付け仕上げ
□クラックの補修
クラックについては、規模の小さな木造では外壁を作り直す方法もありますが、マンションや大きな住宅では現実的な方法ではないため、クラックは主に補修で対処することになります。
・弾性シーリング材の注入
外壁のクラック幅が2mm程度であれば、そのまま弾性シーリング材を注入するだけで補修が完了することもあります。
クラックの幅が大きい場合、補修方法はいくつか存在しますが、代表的な補修方法としては以下のものになります。
①クラック部分をU字に切り取って清掃する
切り取る幅・深さは約1cm程度、長さは数十センチ程度大きく切り取ります。
大きめにカットする理由はシーリング材を詰めた際の接着面積を大きくして補強力を持たせるためです。
②シーリング材の密着性を高めるプライマーを塗布
③弾性シーリング材を注入
④シーリング材の外側に弾性モルタルを詰める
注意して施行してもクラックの補修の跡は残りますが、粒子状の吹き付け塗装を行うことで不完全ながらも補修の跡をかなり隠すことは可能です。
□クラック塗装
また塗装業界ではクラック塗装と呼ばれる塗装方法もあります。
クラック塗装では塗料を厚く塗ったり、収縮率の異なる塗料を重ね塗りするなどして、家具や壁の表面にひび割れ模様を出す塗装方法になります。