ケレン
□ケレンとは
ケレンとはcleanが元となったといわれる塗装用語で、きれいにするという意味があります。
ケレンでは、サンドペーパーなどで凹凸を削ったりサビを落として塗面の汚れを取りきれいにします。
また旧塗膜が剥がれている場合にはそれも落とします。
トタンや鉄骨などの鉄部に対しては、塗面がきれいな場合にもケレン掛けを施します。
これは表面に細かい傷を付け塗料の密着性を高める目的で行われ、どの程度ケレンを行うかも良い塗装をするためには大切な判断になります。
ケレン掛けが不十分な場合、仕上がりが悪くなるだけでなく、塗膜がすぐ剥がれたり、またすぐに錆びが発生したりします。
□ケレンに使う道具
ケレンにはサンドペーパー、皮スキ、マジックロン、電動工具(サンダーなど)を使用します。
トタンや鉄骨などの鉄部へは鉄ヘラ、サンドペーパー、電動工具(サンダーなど)を使用します。
□ケレンの種類
・第一種ケレン…旧塗膜やサビを徹底的に落とした状態にする。
・第二種ケレン…地金が出るくらいまで旧塗膜やサビを落とす。活膜はそのまま維持する。
・第三種ケレン…劣化部分のみ除去する。活膜が多い場合で部分的に錆びが発生している状態に施される。
・第四種ケレン…汚れや粉化物を除去する。
第一種ケレンはかなりの予算が必要であるため、主に橋梁などの公共工事で行われます。
一般の住宅に施されるのは第二種ケレンまでのようです。
□ボルトへのケレン
鋼構造物、折半屋根などはボルトが多用されており、そのボルトへもケレン掛けが行われます。
ボルトへのケレン掛けを効率よく行うため、ボルトブラッシャーと呼ばれるボルト専用ブラシがあります。
ボルトブラッシャーは橋梁用と折半屋根用の2種類があり、電動ドリルに取り付けて使用します。
□国土交通省「改修共通仕様書」による下地調整レベル
大型改修工事でのケレン作業、高圧洗浄では、洗浄(表面剥離)、準ケレン(脆弱部剥離)、全ケレン(完全剥離)の3種類があります。
国土交通省の改修共通仕様書では、下地調整レベルとしてこれをRC種、RB種、RA種としています。
◆RC種洗浄
劣化損傷の推定範囲…主に塗膜
下地調整…汚れ、付着物(チョーキングを含む)を除去する。
◆RB種準ケレン
劣化損傷の推定範囲…塗膜内部まで劣化が進行
下地調整…劣化して脆くなっている塗膜を除去する(下地を含む)。
◆RA種ケレン
劣化損傷の推定範囲…塗膜の下地まで劣化損傷が進行(または塗膜の密着性が期待できない場合)
下地調整…塗膜は全面ケレン除去する。また脆くなった下地の層もケレン除去する。