タスペーサー
タスペーサーとは、主に戸建て住宅などでよく使用されているカラーベスト、コロニアルなどのスレート屋根の塗装の際に行われる縁切りに使用されるスペーサーという縁切り材の一種です。
タスペーサーとはセイム社が販売しているスペーサーの商品名であり、カラーベスト、コロニアルなどのスレート屋根の縁切り材として最も普及しています。
縁切りのためには通常、屋根をカッターなど傷つける必要がありますが、タスペーサーをスレート屋根の重なり部分に挿入することで、屋根材に必要なスペースを確保して塗装を行うことができます。
タスペーサーを使用することで屋根を傷つけずに通気性の確保や毛細管現象による雨水の吸い上げを最小限に抑えるという大きな効果が得られ、縁切りの作業効率も上がります。
□タスペーサーの効果
・塗り替えの際にカラーベスト、コロニアルなどのスレート屋根の重なり部分が塗料によって塞がれるのを防止します。
・スレート屋根の重なり部分に浸入した雨水を排出する隙間を確保します。
・スレート屋根の通気性を良くし、下地板の蒸れを防ぎます。
□タスペーサーに求められるもの
・クッション性…タスペーサーは雪の重みや作業のために人が屋根に乗っても割れないクッション性が必要です。
・耐熱性…屋根は真夏の表面温度が70~80度に達するため、ある程度の耐熱性が必要です。
・耐久性…十分な耐久性が必要となります。
・2.5~3mm程度の厚み…タスペーサーは屋根の重なり部分に作り出すスペースが広すぎると雨水が入り込む原因となり、またスペースが狭すぎれば雨水の表面張力によって縁切りの効果が十分に得られないため、厚さ2.5~3mmのタスペーサーの使用が望ましいとされています。
□タスペーサーの種類
・02型…初期型。03型より反り部の面積が小さく、反発力が小さい。
・03型…02型の改良型。02型より反り部の面積が大きく反発力が強い。02型より広いスペースを確保できる。また02型よりクッション性も強化され、脱落防止爪も増えている。
□タスペーサーの工法
◆シングル工法…スレート屋根の横の合わせ目に一個のタスペーサーを挿入します。
・シングル工法はスペースの横幅が狭く、通気性の確保や、毛細管現象による雨水の吸い上げを防ぐ効果がW工法より劣ります。
・シングル工法ではスレート屋根の風化が進んでいる場合や、屋根への加重の掛け方によっては素材が割れやすいという欠点があります。
◆W工法…スレート屋根の横の合わせ目に2個のタスペーサーを挿入します。
・W工法ではスペースの横幅がシングル工法より広く、通気性の確保、毛細管現象による雨水の吸い上げが確保しやすくなっています。
・W工法ではシングル工法と比較して屋根に乗っても屋根の素材が割れにくくなっています。
□タスペーサーは03型・W工法がおすすめ
単価的にはやや高めになりますが、様々な利点や次回の塗り替え作業を考えた場合、03型を使用しW工法を用いることがおすすめとなります。
03型と02型の施工費の差額としては、建坪30坪ほどの住宅の場合ので数千円程度となります。
見積もりの際に確認されるとよいでしょう。