ドブ漬け塗装
ドブ漬け塗装とは塗装物を塗料の中に直接漬け込む塗装法です。塗料が行き渡った後、塗装物を塗料から引き上げ乾燥させます。
ドブ漬け塗装は浸漬塗装、デッピング塗装とも呼ばれます。また日本ではプラスティーディップとも呼ばれますが、これはPlasti Dip International社の登録商標からきています。
ドブ漬け塗装は表面に凹凸があるものや複雑な形のもの、小さいものの塗装に適しています。
ドブ漬け塗装は各種ある塗装方法の中でも最も簡単な方法であり、古くから工業用塗装に使われてきました。
特有の欠点があることで一時は衰退た時期もありましたが、現在では省エネルギーであることや適応する塗料の開発により見直されてきているようです。
□ドブ漬け塗装の注意点
ドブ漬け塗装は漬け込み、引き上げともある程度時間を掛けることが大切です。
塗料の中の泡が付着しないよう注意が必要です。
□ドブ漬け塗装の欠点
ドブ漬け塗装の欠点は、塗料からの引き上げに時間を掛けることから塗膜の厚みが均一にならないという点になります。
上部の塗料が下に流れ落ちることで上部の塗膜は薄くなり、下部は塗膜が厚くなり、塗膜の厚みの差は2倍以上になることもあるようです。
しかし塗料の種類や条件により厚みをほぼ均一にすることも可能です。
ドブ漬け塗装には塗膜の落ち時間と溶剤の蒸発時間とのバランスが大切になります。
□ドブ漬け塗装に合う塗料など
水系塗料はドブ漬け塗装と比較的相性が良いようですが、水溶塗料でも溶剤と水の比率に注意が必要であり、塗膜の落ち時間と溶剤の蒸発時間とのバランスによっては塗装面の仕上がりが悪くなることもあるようです。
□ドブ漬け塗装が行われているもの
ドブ漬け塗装は現在も工場内では広く行われているようです。
自動車の下回り部品や電機部品、農機具部品、建材などの工場内では盛んであり、アルミサッシの防錆用のクリアコートについてはほとんどこの方式であるようです。
アルミサッシの塗装方式TFSでは、溶剤として不燃性のトリクロロエチレンを使用し、塗料をトリクロロエチレンの沸点である87.2°Cまで加熱、塗装物の温度が塗料の温度と同じになってから一定速度で引き上げると、付着塗料から溶剤が直ちに蒸発し、下への流れ落ちがほとんど無くなり、上部と下部の塗膜の厚みの差が1ミクロン以内と言うほぼ均一な塗膜ができるようです。