フッ素
フッ素は最も軽いハロゲン元素です。原子番号9、元素記号はFと表されます。
フッソは英語でfluorineと表されますが、これはラテン語の「流れる(fluo)」に由来しています。これはフッ素を含む蛍石(フッ化カルシウム)が金属精製において融剤として用いられたことからきています。
フッ素は単体ではかすかに黄色を帯びた気体です。塩素のような臭いがするとされています。
フッ素は猛毒性ガスであり、単体では眼・皮膚・粘膜・気道を刺激します。
全元素中で最も大きな電気陰性度を持っており、化合物中では常に-1の酸化数を取っています。
フッ素は極めて反応性が強く、水とも直ちに反応します。
反応性が高いことから、フッ素は基本的に単体では存在しない物質であり、天然には蛍石や氷晶石などとして存在します。
多くはフッ化水素と同様の毒性を示しますが、フッ素・フッ化水素(フッ酸)・フッ化物の作用はそれぞれ異なっています。
虫歯予防のために水道水に微量のフッ素を混ぜている国がありますが、フッ素の毒性について懸念があるため日本では行われていません。
□フッ素の歴史
フッ素については1886年に初めて分離・貯蔵に成功しています。
低温でフッ化カリウム水溶液に液体フッ化水素を作用させ、フッ素に犯されにくい白金・イリジウム合金で電気分解し、フッ素ガスを遊離させて蛍石の容器に貯蔵しました。
□フッ素の利用例
フッ素はフッ素樹脂(テフロンなども含む)、歯磨き粉(フッ化ナトリウム)、冷媒(フロン)、医薬品(有機フッ素化合物)などに利用されています。
□フッ素樹脂とは
フッ素樹脂とは、フッ素を含むオレフィンを重合して生成される合成樹脂の総称です。
耐熱性や耐薬品性が高く、耐侯性が高いという特徴があります。
フッ素樹脂で最も生産量がおおいのはポリテトラフルオロエチレン(四フッ化樹脂)です。
部分フッ素樹脂やフッ素樹脂の共重合体をフォームに加工したものはフッ素ゴムと呼ばれています。
塗料としては、フッ素樹脂を用いたフッ素塗料があります。