化学物質過敏症
□化学物質過敏症とは
化学物質過敏症とは、慢性または大量の化学物質に曝露された後、微量の化学物質に反応して健康被害が引き起こされるとする概念です。本態性環境不耐症とも呼ばれます。
化学物質過敏症は、1950年代にアメリカの医師セロン・G・ランドルフがその可能性を提唱し、その後1980年代にマーク・カレンによりMCS(Multiple Chemical Sensitivity:多種化学物質過敏状態)という概念が提唱され、同様の概念を提唱すると医学研究者(臨床環境医)が主体となり研究が行われてきました。
化学物質過敏症は定義や診断方法など未解明な部分が多く、海外では化学物質過敏症を疾患と認めることに否定的な意見もあり、病態の解明や臨床検査方法、診断基準の早期制定が望まれています。
□化学物質過敏症の原因
化学物質過敏症は、薬物や化学物質に対する許容量を一定以上超えた場合に引き起こされるとされています。
許容量には個人差が大きいとも言われているため、発症リスクを下げるためには薬物や化学物質の曝露をなるべく減らすということも大切になるかもしれません。
化学物質過敏症は未だ定義が曖昧であり、アレルギーやシックハウス症候群などとの区別も曖昧なものとなっていますが、化学物質過敏症は非アレルギー性とされ、またシックハウス症候群とも異なる概念であると考えられているようです。
□化学物質過敏症の症状
化学物質過敏症の症状は多種多様であり、症状の度合いや進行速度、回復速度も個人差が大きいとされています。
化学物質は日常生活において身の回りに常にあるものであるため、症状が重い場合は通常の生活ができない状態になることもあるようです。
また原因とされる物質が同じでも人により症状が異なる場合もあるようです。
化学物質過敏症の具体的な症状としては以下のものがあります(一部)。
・目、鼻、耳、口への症状…目が霞む・チカチカする、鼻炎、耳鳴り、口が渇く、咽頭炎など
・消化器への症状…下痢、便秘、吐き気など
・呼吸器への症状…不整脈、息苦しさ、動悸など
・筋肉・関節への症状…筋肉痛、肩凝り、関節の腫れなど
・精神症状への症状…不眠、うつ状態、記憶困難、集中困難など
・その他への症状…皮膚炎、頭痛、痙攣、発熱、疲労感、自律神経障害 (異常発汗) 、手足の冷えなど
□化学物質過敏症を発症した人への対策・治療
化学物質過敏症に対する特効薬はないため、現在は主に以下の対策が取り入れられています。
◆食生活の改善
・ビタミンやミネラルをバランス良く摂取する
・できるだけ無農薬の食材を選ぶ
◆適度な運動や発汗
・運動や入浴による発汗の促進、新陳代謝の活性化を図る
◆生活環境の改善
・換気、掃除をこまめに行う
・症状が出る製品や物質を特定し、身近に置かない・使わない
□まとめ
外壁塗装の場合、化学物質過敏症を発症するリスクは内装への塗装時に比べ低いと言えますが、気になる場合は揮発性有機溶剤の少ない・または配合されていない水系塗料など、より健康に配慮された塗料を選ぶことも大切になりそうです。