有機(ゆうき)
有機(ゆうき)には「生命力を有する」という意味があります。
有機は有機物の性質をもつことも指し、有機化合物、有機化学などの略としても使われます。対義語は無機。
□有機化合物とは
有機化合物とは炭素原子を含む化合物であり、有機物質あるいは有機物とも呼ばれます。
また炭素原子を含む化合物であっても、単純なものは慣例として有機物化合物からは除外されています。
・炭素原子を含む化合物であるが無機化合物とされている物質…一酸化炭素、二酸化炭素、炭酸塩、青酸、シアン酸塩、チオシアン酸塩など
□有機化合物の歴史
18世紀には生物(有機体)に由来する化合物には生命力が宿っており、特別な性質を持つとみなされていました。イェンス・ベルセリウスは物質を生物由来のものと鉱物由来のものに分け、生物由来の物質を「有機化合物」鉱物由来の物質を「無機化合物」と定義しましたが、その後フリードリヒ・ヴェーラーが無機物から有機物を人工的に作り出すことに成功し、この定義は意義を失いました。
しかしこのような歴史的背景から、炭素原子を含む化合物でも単純なものについては現在でも有機化合物には含まず無機化合物とされています。
20世紀に入ると有機化合物の構造と物性との関連について理解が進み、分子構造を改変することで物質の機能をデザインする流れができました。
最初は染料の分野で始まり、医薬、繊維の分野に波及し化学工業という産業分野が勃興しました。
1950年代以降には石油化学工業の発展により石油に由来する多様な有機化合物原料が提供され、様々なプラスチックや機能設計された多種多様な有機化合物が生活に浸透しました。
1980年代以降はコンピュータの著しい能力向上と計算化学の発展を受け、ナノテクノロジーに対する有機化学的アプローチである機能性分子や、超分子などといった新規の有機化合物が生み出されるようになりました。
□有機化合物の特徴
有機化合物は生命体の構成分子と似ており、特徴としては自然界に開放されると生命体に吸収されやすいという点があります。
このため有機化合物は金属などの無機物よりも比較的毒性が強く、環境などへの影響も大きいため様々な対策が行われてきています。
□具体的な有機化合物
有機化合物が使われているものの具体例としては以下のものがあります。
・染料(色素、塗料)
・有機溶剤
・香料
・接着剤
・プラスチック(合成繊維・エンジニアリングプラスチック)
・農薬、殺虫剤、除草剤
・医薬品、医薬部外品、向精神薬
・毒物、麻薬、覚せい剤
塗料は主に有機、無機系、無機に分類できます。
一般的な従来の塗料は有機成分が主体の有機塗料になります。
□有機塗料とは
有機塗料は安価で接着性が高く、容易に扱えます。
有機塗料には炭素を含む有機物、劣化原因物質が必ず含まれています。
有機塗料には毒性があり、人体や環境に影響があります。
□有機塗料の特徴
有機塗料は防水力に優れており、外気温を遮断、断熱し、内部結露を防止するという特徴もあります。
有機塗料は一般的には良い艶がでますが、塗料メーカーにより艶消し塗料も開発されており、個人の好みに合わせて選ぶことが可能です。
有機塗料は非常に密着力がありヒビ割れに強いという利点があります。
しかし有機塗料は無機塗料よりも塗膜が弱く、耐候性はやや落ちるようです。
□主な有機塗料
一般的な従来の塗料は有機塗料です。
塗料として一般的なアクリル・ウレタン・シリコン・フッ素なども全て有機塗料になります。