溶剤
□溶剤とは
溶剤とは固体、液体、気体を溶かす液体のことです。
通常は溶媒と呼ばれますが、工業分野では溶剤と呼ばれることも多いです。
均一液相をなす混合物を構成している成分のうち、液体成分の一つを溶剤(溶媒)といい、他の成分を溶質といいます。
気体や固体が液体に溶解して均一な溶液を作っている場合、液体成分を溶剤と呼び、液体間で溶液となっている場合には相対的に量の多いほうを溶剤とみなします。
溶剤(溶媒)は固体や液体の溶解、また溶液の希釈に用いられたり、化学反応を起こさせる反応媒体としても用いられます。
一般的に溶剤(溶媒)として扱われる物質は、常温常圧では無色の液体です。
□溶剤(溶媒)、溶質、溶液の関係
溶剤(溶媒)に溶かされるものを溶質と呼び、溶剤(溶媒)と溶質を合わせて溶液と呼びます。
□溶剤(溶媒)としての適性
溶剤(溶媒)として最重要な点は以下になります。
・溶質を良く溶かす(溶解度が高い)こと
・化学的に安定していること
また目的に応じて以下の点も重視されます。
・沸点が低く除去しやすいこと
・可燃性や毒性の度合い、安全性
・環境への影響
□溶剤(溶媒)として用いられる物質
溶剤(溶媒)として用いられるものには以下のものがあります。
・水(最も一般的に使用される)
・アルコール、アセトン、ヘキサンのような有機物(有機溶剤と呼ばれる)
有機溶剤(有機溶媒)については独特の臭気を持つものも多くなっています。
□有機溶剤(有機溶媒)の具体例
有機溶剤(有機溶媒)の具体例としては下記のものがあります。
・ドライクリーニング(テトラクロロエチレン)
・染み抜き(ヘキサン、石油エーテル)
・合成洗剤(オレンジオイル)
・香水(エタノール)
・マニキュアの除光液、接着剤(アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル)
・シンナー(トルエン、テルピン油)
・化学合成、樹脂製品の加工
□塗料に用いられる溶剤(溶媒)
塗料は顔料や樹脂の粒子などで構成されており、それらを溶かす溶剤(溶媒)については水または有機溶剤(有機溶媒)が用いられます。
・塗料の溶剤(溶媒)が水である場合…水系塗料(水性)
・塗料の溶剤が有機溶剤(有機溶媒)である場合…溶剤塗料(油性)
溶剤塗料には1液溶剤型と2液溶剤型があり、2液溶剤型は人体に有害なキシレンやトルエンを除去した弱溶剤塗料用シンナーを用いたターペンNAD型が主流になっており、強溶剤塗料より臭気が少なく健康面にも配慮されているようです。