無機(むき)
無機(むき)には「生命力を有さない」と言う意味があります。
無機とは無機化学、無機化合物、無機物などの略としても使われます。対義語は有機。
□無機化合物とは
無機化合物とは、有機化合物以外の全ての化合物の総称です。
炭素原子が含まれていない化合物は全て無機化合物であり、それに加え、一部の炭素原子を含む単純な化合物(炭素化合物)についても無機化合物に分類されます。
無機化合物の化学的性質は、元素の価電子(最外殻電子)の数に応じて性質が多彩に変化します。
特に典型元素は周期表の族番号と周期にそれぞれ特有の性質の関連があることが知られています。
□具体的な無機化合物
無機化合物に含まれる炭素化合物としては、簡単な酸化物(CO,CO2,C3O2など)、シアンおよびシアン化物((CN)2、HCN、KCNなど)、シアノ錯塩(K4Fe(CN)6など)、チオシアン酸塩(HNCS,NaSCNなど)、炭酸塩(K2CO3、NaHCO3など)があります。
無機化合物には、水素化合物、酸化物、オキソ酸、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、金属錯体(配位化合物)、ハロゲン化合物などがあります。
塗料は主に有機、無機系、無機に分類できます。
一般的な従来の塗料は有機成分が主体の有機系塗料になります。
□無機塗料とは
無機塗料は劣化しにくく、環境にやさしい塗料です。
しかし高価で接着性が低く、扱いにくいというデメリットがあります。
□無機系塗料とは
無機系塗料は質的に安定した無機をベースに出来ている塗料です。
ケイ素(Si)を多く含有しています。
無機系塗料は有機と無機のハイブリッド塗料であり、完全な無機ではありません。
有機、無機の両方のメリットを兼ね備えていますが、両方のデメリットも持ちます。
耐候性についてはフッ素とほぼ同水準になります。
□無機系塗料の特徴
無機系塗料は、一般的に通気性、浸湿性に優れています。外観は艶がありません。
無機系塗料は乾燥した際に強靭な塗膜を形成するのが利点であり、その硬さのために密着力が悪くヒビ割れしやすいという点が欠点になります。
□主な無機系塗料
話題の光触媒塗料は無機系塗料です。
また漆喰や珪藻土を用いた塗料も無機系塗料に分類されます。
しかし漆喰、珪藻土を用いた塗料は汚れや化学物質を吸着するという性質上、汚れがつきやすく落としにくいという欠点や、室内の湿度が高いとカビが発生しやすいというデメリットがあります。
また珪藻土などの自然素材はには固形剤が必須ですが、その固形剤には合成樹脂を使うことが多く、合成樹脂は自然素材の湿度調整効果や化学物質などの吸収効果を阻害してしまうという欠点もあります。
珪藻土の成分であるシリカには発がん性の報告もあり、フランスにおいては使用が禁止されている成分でもあるため不安に思う方も多いようです(実際に塗材として使用する場合は殆ど含まれていないと思われます)。