環境ホルモン物質
□環境ホルモン物質とは
環境ホルモン物質とは、環境中に存在する化学物質のうち、生物に対してホルモン作用をおこしたり、逆にホルモン作用を阻害する外因性の物質を総称する通称です。
環境ホルモン物質の正式名称は内分泌攪乱物質(ないぶんぴつかくらんぶっしつ)といい、外因性内分泌攪乱化学物質、内分泌かく乱物質とも呼ばれます。
環境ホルモン物質と言う言葉は、内分泌攪乱物質を分りやすく紹介するために、「環境中に存在するホルモンのような物質」という意味合いから考案された通称になります。
環境ホルモン物質は、生物の体内で正常な働きをするホルモンの働きを狂わせることで様々な異常を引き起こします。環境ホルモン物質が問題となり始めたのは1980年頃で、世界各地で異常が発見されるようになったことを受けて研究が始まりました。
□環境ホルモン物質の具体例
環境ホルモン物質は化学物質であり、具体的な例としては殺菌剤、防腐剤、農薬、食品添加物、ダイオキシンなどに含まれる約70種もの化学物質が挙げられています。また住宅建材や塗料にも含まれています。
環境汚染された状態の川や海、産廃処分場の侵出水からも環境ホルモン物質が検出された例があります。
◆建材、塗料、接着剤に使われている環境ホルモン物質の例
・ビニールクロスの壁紙…DEHP(フタル酸ジエチルヘキシル)
・接着剤、仕上げ塗料…クロロベンゼン類
・シロアリ駆除剤…合成ピレスロイド
・ポリスチレンフォーム製の畳…スチレン
・フローリング…BBP(フタル酸ジブチルベンジル)
□環境ホルモン物質の影響
環境ホルモン物質には、生物の体に入ると女性ホルモンのように作用したり、男性ホルモンの働きを阻害したりするものがあります。これらは生殖機能に異常を引き起こしたり、免疫力の低下による健康障害や行動の異常が表れることが知られています。
またこうした物質の影響で、熱やせきが出たり、気分が悪くなるなどの症状が出る場合もあり、アレルギーを引き起こす原因となることもあるようです。
□環境ホルモン物質への対策
環境ホルモン物質は日々の生活の中で身体の中に取り込まれることが避けられない物質でもあります。そのためできるだけ体内に取り入れる量を減らすことが対策とも言えます。環境ホルモン物質は住宅の建材や塗料にも含まれることが多いため、環境ホルモン物質の含有が少ないものを選択したり、また環境ホルモン物質を吸着する効果のある素材を使用するなどの対策も効果的であると言えそうです。