縁切り
□縁切りとは
・縁切りとは、主に戸建て住宅などでよく使用されているカラーベスト、コロニアルなどのスレート屋根の塗装の際に行われるものです。
こうした屋根材には雨水の排出や通気性の確保を目的とした溝(隙間)がついているのですが、塗装することでその隙間が塗料で塞がれ、侵入してきた雨水が排出できなくなります。
そのため屋根の塗装工事完了後、塗装の完全乾燥が終わった後に、塗料で塞いでしまった隙間をカッターなどで取り除く作業が必要となります。これを縁切りと呼びます。
・カラーベスト、コロニアルなどのスレート屋根の塗装では、縁切りをしないと雨水が排出できず雨漏りの原因にもなり、下地が腐ってしまうこともあります。このようにスレート屋根の塗装では、縁切り対策をせずに塗り替えを行うとかえって屋根を傷める結果にもなります。縁切りは、こうした素材の屋根を塗り替える際は必ず必要となる工程です。
□タスペーサーを用いた縁切り
縁切りに使う縁切り材としては、縁切りのために屋根をカッターなど傷つける必要のない縁切り材「タスペーサー」(セイム社)が普及してきています。
タスペーサーを使用して屋根材に必要なスペースを確保して塗装を行うことで、通気性の確保、毛細管現象による雨水の吸い上げを最小限に抑えるという大きな効果が得られます。またタスペーサーは縁切りの作業効率を上げる効果もあります。
□縁切りの現状
塗装業界全体としては、縁切りが必要なスレート屋根に縁切りを行わない施工業者もいるようです。
屋根の塗装は住宅の塗装では最終工程であり、屋根の塗装が完了すればその現場は終了となり、足場も撤去されます。
塗装後の縁切り作業は屋根に塗った塗料が完全乾燥してから行うため、塗装業者は後日足場が外れた住宅の屋根に登って縁切り作業を行うことになります。結果、煩わしさから縁切りをしない施工業者もいるようです。
スレート屋根には縁切り作業は必須となりますので、屋根の塗り替え時には、見積もり段階で施工業者に縁切りの確認をされると安心かもしれません。