酸化チタン(TiO2)
□酸化チタン(TiO2)とは
酸化チタンはチタンの酸化物であり化学式がTiO2の無機化合物です。
無色の固体で光電効果を持つ金属酸化物で、ダイヤモンドよりも高い屈折率があります。
酸化チタンは二酸化チタン、チタニアとも呼ばれます。
酸化チタンは水や有機溶剤、また酸、アルカリにも反応しにくく、安定した物質です。
◆酸化チタンの結晶構造の違い
酸化チタン(TiO2)の結晶構造にはアナターゼ型(鋭錐石、正方晶)、ルチル型(金紅石、正方晶)、ブルカイト型(板チタン石、斜方晶)があります。
アナターゼ型の酸化チタンを熱して900 ℃以上にすると不可逆的にルチル型に変わります。
またブルカイト型の酸化チタンを熱して650 ℃以上に加熱すると、こちらも不可逆的にルチル型に変わります。
ルチル型は最安定構造であり、一度ルチルに転移したアナターゼやブルカイトは、低温に戻してもルチル型のまま維持されます。
この3種類の酸化チタンのうち、ブルカイト型の酸化チタンについては工業的な利用はされておらず、工業面で用いられているのはルチル型とアナターゼ型の酸化チタンになります。
□酸化チタンの用途
・顔料、紫外線吸収剤
酸化チタンは白色顔料として、また紫外線吸収剤として塗料や日焼け止めなどに用いられています。
酸化チタンは塗料などの顔料としてはチタン白、チタニウムホワイトと呼ばれています。顔料には熱安定性などに優れる最安定構造のルチル型の酸化チタンが用いられます。
酸化チタンは人体への影響が比較的小さいと考えられており、食品、医薬品、化粧品の着色料としても利用されている。
・光触媒
酸化チタンは光触媒の原料として応用されています。
酸化チタンをコーティングしたものは、日陰程度の太陽光や室内での照明程度でも光触媒反応が起き、防汚効果、殺菌・抗菌効果、消臭効果などを示します。
この性質を利用して、酸化チタンは抗菌タイルや空気清浄機のフィルター、消臭・抗菌蛍光灯などにも利用されています。
光触媒には酸化チタンのアナターゼ型とルチル型が用いられます。光触媒としての活性がより高いのは一般的にアナターゼ型の酸化チタンになります。
・オフセット印刷
・色素増感太陽電池
□酸化チタンの安全性について
酸化チタンについては、世界保健機関は発がん性の可能性があると指摘しています。またIARCは2006年にグループ2Bの「人に対して発がん性がある可能性があるもの」に区分を変更しています。
酸化チタンが微粒子であり、また水に溶けないため、酸化チタンの粉塵を吸引することで肺に与える影響が懸念されているようです。
酸化チタンは比較的安全な物質とされており、食品にも利用されています。
□代表的な光触媒物質は酸化チタン
酸化チタンは光触媒効果のある物質として最も代表的と言える物質です。
酸化チタンに光を当てると、強い酸化反応や還元反応が起こりやすくなり、さまざまな有機物が水や二酸化炭素などに分解される光触媒の作用が起こります。
基本的に光触媒に当てる光は紫外線ですが最近では可視光で光触媒効果が得られるものも出てきています。